皆さんごきげんよう。今回も始まりました夢案山子のMTG考察、今回でなんと第9回になります。早いものですねぇ。
さて今回は第10回を目前に、前回、前々回と続いているルール編の一段落として、
役に立つんだか立たないんだか分からない情報を一旦最終回としてお届けしていきたいと思います。

今回はMTGの基本的なルールの中でも微妙に意識していない及び知らないかもしれないマナ・マナ能力・呪文を唱える事と
コストの支払い及び同時に起こった場合の処理についてを書いていこうと思います。

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まず、このゲームになくてはならない要素の一つ「マナ」ですが、
これはこのゲームの根幹を成すほぼ全ての呪文に必要なコストを支払う為のリソースとなっています。
基本的には戦場にある土地をタップする事により生み出されるマナですが、
流石このゲームを動かす上で重要なだけあって、他のものとは違いかなりの制約と特殊な動きがあります。
まず生み出す元となる土地は基本自分のターンのみに1ターンに1枚だけ戦場におく事ができます。
そして生み出されたマナは各ステップとフェイズの終了時に消滅します。
そしてこのマナを発生させる能力の基本的な部分に「マナ能力」というものがあります。
「マナを出す能力の事でしょ?」といわれそうですが実は違います。
マナを出す能力の中でも次の二つのみがマナ能力に該当します。

1.マナを加えうる効果を持つ起動型能力で、忠誠度能力ではなく、かつ対象を取らないもの。起動型マナ能力。
2.起動型マナ能力を誘発条件とするマナを加える効果を持つ誘発型能力のうち対象を取らないもの。誘発型マナ能力。
となっています。

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マナ能力を持つ代表的なクリーチャー
エルフの神秘家



マナ能力はスタックを用いずに即座に解決され、優先権のルールに反し呪文や能力の発動後にマナの支払いが生じた時に起動できる特性を持っています。
つまりマナ能力でないマナの発生はスタックで割り込まれたりするとその時点ではマナが出ていないことになります。
さて、こうなってくると呪文や能力の途中のマナの支払いについて気になってきますよね。
なのでその手順をざっくり説明していくと、

まず呪文や能力を使用する事を宣言してスタックの一番上に乗せます。
次にモードがあるものはどのモードか選び、次に代替コストや追加コスト、Xマナコストや可変マナコストなどどのマナを支払うか決め、対象数を宣言し対象を選びます。
割り振りなどがあれば、この時に決めます。これにより総コストが決定され、この時コストにマナが含まれる場合マナ能力を使用してマナが出せます。
後はコストを支払って完了です。

以上の事で何か誘発する能力があればこの後スタックに乗ります。
特にマナを発生させてから呪文を唱えるものだと思っていた人は一緒くたになりがちですが、
マナ能力とマナを発生させる能力は違う物なので注意しましょう。
特にプレインズウォーカーの忠誠度能力は起動型で対象を取っていなくてもマナ能力ではないので注意してください。



さて、次に同時にいくつかの能力が誘発して順番がわからない、解決時の状態が不明など困った事はありませんか?
そこで同時に誘発型能力が起動した場合の解決の仕方とその順番を書いていこうと思います。

まずわかりやすい例が必要かと思うので一番最近のカードで例えて行きたいと思います。
まずあなたは《龍の大嵐》を1枚コントロールしており、ゴブリントークンが4体居ます。
あなたは《龍の降下》を撃ってこのゴブリントークン4体を破壊しました。
それによりあなたの場にはドラゴンクリーチャートークンが4体出てきます。
龍の大嵐》によりドラゴンがあなたのコントロールの下、場に出た場合あなたがコントロールするドラゴンの数に等しいダメージを対象のプレイヤーかクリーチャーに与える能力が起動します。
さて何点が何回とぶかややこしそうですね。
いやいや実は非常に簡単です。
まず4体が同時に出ることにより《龍の大嵐》の誘発型能力が同時に4回誘発します。
同時に能力が誘発した場合、基本的にその能力のコントローラーが順番を決めていいので、
仮にその4回をA・B・C・Dとするなら、あなたはA・B・C・Dの順番でスタックに置いていく事にしました。
よって解決される順番はD・C・B・Aの順となります。
次に何点とぶかなんですが、順番に出てきたなら1点・2点・3点・4点なんですが今回は同時に出た事によって同時にスタックに送られる事となり、
便宜上そのコントローラーが順番をつけて解決しているだけなので解決時にはあなたの場にドラゴンが4体居る事になります。
よってDで4点・Cで4点・Bで4点・Aで4点の計16点のダメージが飛ぶ事になります。

さて、では次に同じ状況で相手が《錯覚の利得》をコントロールしており、元々あなたのドラゴンでないクリーチャーにつけられた状態だったとします。
その場合まず4体のドラゴンが同時に場に出るのは変わりませんが、スタックに置かれるべき能力が《龍の大嵐》4回分のほかに《錯覚の利得》のクリーチャーに付け直す能力が発動します。
ではこの処理の順番なのですが、複数の選択が複数のプレイヤーに及んでいる場合必ずその選択はアクティブプレイヤーから順番にターン消化順のプレイヤーへ全ての選択を行った後に順番を回していくという事が決められています。
よってあなたがまず《龍の大嵐》4回分の順番を決めて、対象をそれぞれ選んだ後、相手が錯覚の利得の順番を選びます。
あなたが先ほどと同じ選択を行った後、対戦相手が4体場に出たのでどの順番に場に出たドラゴンに誘発させていくかを選びます。
これを相手はD・C・B・Aの順番にスタックに乗せて行きました。

さて、この時の解決ですが、当然相手の《錯覚の利得》の能力の方が後に選んでいる関係上、後にスタックに乗っているので、
この場合のスタックの一番上は錯覚の利得の能力となります。
したがってA・B・C・Dの順番にエンチャントが付き、最終的にDのコントロールを得た状態で《錯覚の利得》能力が全て解決されます。
次に《龍の大嵐》の能力ですが、すでにこの時点でDのコントロールをあなたは失っている状態ですが、
Dが場に出たことによる能力はスタックに乗っているので通常通り解決されます。
この時あなたがコントロールしているドラゴンはDを除く3体なのでD3点・C3点・B3点・A3点の計12点のダメージがとびます。
仮にこの時相手が《龍の大嵐》の能力が解決される前に、バウンスや除去でさらにあなたがコントロールするドラゴンの数を減らした場合、
その分《龍の大嵐》の能力が解決される時の1回あたりのダメージが減る事になります。


このように解決の順番を知ることはとても重要です。これにより最終的に受けるダメージやお互いの場の状態がかなり変わってきたりしますので注意してください。
ちなみに気になっている方がいるとあれなので少し余談にはなりますが、
錯覚の利得》をコントロールしている状態でクリーチャーが場に出て能力がスタックに乗った後、
その上にスタックでその場に出たクリーチャーを除去された場合、《錯覚の利得》の行方が気になったりしますか?
これは単純に付け直す能力が適正さを失い立ち消えになるので元のクリーチャーに付いたままになります、(本当に余談です)


かなりざっくりと書きましたが大体の流れは感じていただけたでしょうか。
昔のように呪文や能力自体に速度の概念があったような頃(スタックがなかった時代のインタラプトやマナソースなどの概念があった頃の話です)
に比べるとずいぶん変わりましたねマジックザギャザリングも…(遠い目)

さて、一旦最終回という事で一息つきたいところではありますが広報担当モテギ氏より催促があったので、
引き続きコラムを書いていこうと思います、時間があればの話ですが……


次回予告「暴力はよくない」「確かにな、しかしあらゆる生物の歴史において暴力こそが最も多くの問題を解決
してきた、その事実に対しきれい事で目をつぶる者は必ず敗北とともに大きな代償を支払う事になるだろう」
「確かにそうかもしれない、でもそれじゃあ……」
次回第10回夢案山子のMTG考察「弱い者はどうすればいい?」をお楽しみに。